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夢blog

当塾代表 渡辺夢寛による「夢blog」 開設しました

2024 今春大学入試を振り返って~その1 台町本校 総合型・推薦入試編~

2024-06-27
渡辺私塾高等部 今春大学入試を振り返って~その1(全4回) 台町本校 推薦・総合型入試編~ 渡辺私塾高等部代表 渡辺 夢寛
 

一昨春の「模範的生徒達の威名通りの合格記」、昨春の「出来が悪いと揶揄され続けた塾生達の逆転合格への奇跡への軌跡」(共に当塾HPにて閲覧可)に次いで、今春の大学入試を振り返るなら、「情報」等が追加される新課程と旧課程の狭間の複雑化入試に藻掻き苦しみながらも果敢に挑んだ「多様性世代の受験記」である。当紙面上にて計4週に渡り、匿名ではあるが、「涙と笑いと希望」に満ち溢れた今春の塾生諸君の「受験奮闘記」、今春のテーマ「多様性、ダイバーシティー≒『今までの価値観をぶっ壊していこうぜ!』」の元、綴っていく。だが昨今大学受験のシステムでの多様性は、「都合よく、体裁よく」使われる。つまりは、その「入試の多様化」とは、実質は(特に地方の)受験生にはあまりにも解りづらい、「推薦型、総合型、AO、共テ、英検利用、それらの併用方式、また一般もA,B,C,D方式・・・」等の何百、いや何千通りもある「多様性」という名の逆に受験生を苦しめる「大学入試の複雑化」である。


この受験記をお読みになるにあたって、次の3点を心の隅に置いて頂ければ幸いです。まずは、「その多様化という複雑化に」翻弄されながらも、必死に食らいつき、血の滲むような努力にて、それを乗り越えた塾生諸君の奮闘記であること。


またその大学受験でがっぷり四つに組み合ったのは、今春も過去最高倍率を記録し、年々過熱の一途を辿る首都圏中学受験や小学校受験を経た都会の所謂お受験エリート達であったこと。

最後にこれから紹介する主人公たちは、それらの受験エリートとは真逆の、栃木県という一地方の、ただ、純朴で朴訥だからこそ、擦れてなく、まるで純白の真綿、例えば「真岡木綿」の如く、教えたことを素直に吸収できる田舎の子ども達であったこと。


まず先陣を切ったのが、早朝から深夜まで365日利用できる自習室の今春の主である(※当塾では半世紀以上、自習室最多利用者は100%第一志望に合格するという都市伝説があるが、一番勉強時間が多い塾生が志望校に受かるという単純明快な話)。


その国際交流経験豊かなバックボーンを持つ彼女に、当塾にて卓越した英語力を身につけ取得した英検準一級を活かせる大学を全国から洗い出し、また彼女の将来世界を股にかける海外商社に勤めたい、という想いを実らせられる最短距離であろう上智大学をピップアップし強く薦めた。ただその時点では大学自体の出願も締め切りギリギリであり、真面目で実直な彼女は「学校の締め切りは過ぎているので難しいです・・」との返事であった。ただ私は、学校と塾との違いがあるが、共に彼女を指導している高校の担任の先生ならば、彼女の上智大学に相応する力を見抜けるだろうとの想いから、「言ってみてダメなのと、言わないで出願できないのは同じだから言うだけ言ってみよう」と説得し続けた。後日、審美眼を持つ高校の担任の先生方の取り計らいにより無事、上智大学に出願できることになったが、続いては学部学科の選定である。


さて、なぜここまで彼女との遣り取りのディテールまで紹介しているのかというと、正に前述の今年度のテーマ、「多様性=受験におけるダイバーシティー」からでもある。以前までは、画一的な「大学でやりたいことを変えることはいけないこと」のようなステレオタイプな考え方が一般的であり、志望学部を変更することは悪いことのような風潮すらあった。例えば文系では経済学部と文学部、理系では医療系学部と工学部を併願する受験は邪道のように言われていたが、私は下記の理由から違った見方もしていた。


例えば、国立私立問わず多くの大学が物心ついてから通学路に散在している都会の高校生と比し、地方では日々の生活と完全に切り離されているキャンパスライフにリアリティが沸いてこない。それ故、ネットでかじった知識や、ほんの数時間、大学見学をしただけの弱冠17,18の少年少女に一生を左右する受験大学、学部、学科まで決めさせるのは酷なのではないかと、文科省のお偉い役人ではない一地方の塾ではあるが、進路指導を現場の最前線で行っているが故、肌で感じていた。それは何十年も前から学部単位の入試方式を採用していない東大や北海道大がその証左であり、またここ数年も筑波大や金沢大などの有力国立大学を中心に「文系一括入試、理系一括入試」方式が広がっている。要するに「とりあえず高校時に英語や数学等の基礎学力をつけてきて、入学してから、多種多様な学問を、自分の眼で見て、触れて、多角的に、多面的に一度いろいろ学んでから、大学院を含めた学びたい専門を見つけてね」という募集枠である。例えば地元宇大でさえ「基盤工学部」といって以前のような細分化された学科単位の募集という入試制度を改め、学部一括募集を開始した。 


また実は、上記の「大学に入ってからの進路選択」のような敏感な塾生は、当塾に一昔前から数多くいた。例えば当塾の卒業生でも、共に「日本一の化学者になる」と東大理科Ⅱ類に進学した、山前の天才と謳われた一人は、東大三年次に文学部に進学し、現在東大東洋文化研究所准教授として中国仏教学の第一人者として名を轟かせている。またもう一人の市貝の秀才と謳われた同じく東大理科Ⅱ類に進学した彼は、世界を股にかける外資系金融マンとして数億円を一日にして動かしているとも聞く。


さて上智大受験は決定したものの、学部選びを共に悩みに悩んだ彼女に話を戻そう。時代は違えど上記の市貝中、真高、東大卒の当塾の先輩と同じように、グローバルに世界を飛び回る未来を志し、彼女も上智大の経済学部に出願した。その後、完璧に仕上がった志望理由書と幾度となく繰り返した小論文添削、模擬面接練習、英・数の筆記試験の末、見事合格を勝ち取ったが、驚愕すべきことは、合格報告当日、なんと彼女は、いつもの居場所である自習室で、いつもの消灯の22時30分まで自習をしていたのだ。後に知ることだが、思慮深い彼女は、塾や高校への合格実績の寄与のためであろう、合格しても進学はしない世界ランキング19位のシドニー大学や国立大学受験(後に共に合格)のために上智大合格当日から、更に勉強時間を増やし、猛勉強を始めたという。


そんな彼女でも例外でないのが今年度の塾生の特徴で、例えば宇大工学部に推薦合格した塾生は同じく合格発表の日に、同じく自習室で消灯まで自習し、更にその帰り際、「宇大受験の学科試験は満点で、面接も塾での練習のお陰で完璧でした」との言葉と共に、英検の申し込みまでしていったのである。また西日本トップ私大の同志社大学に合格した塾生も、合格当日から経済の専門書を読み漁り、早速入学早々行われた大学の英語学力別クラス分けにて最上位のクラスになったと京都から報告があった。繰り返しだが驚愕すべきことに上記3名共、合格発表当日の話である。昨今の「多様性」を肌で体感している現在の受験生は、大学合格=ゴールではなく、一つの通過点と捉えているが、そんな多様性を更に具現化した塾生達が次回以降続々と登場する。
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