本文へ移動

夢blog

当塾代表 渡辺夢寛による「夢blog」 開設しました

2024 今春大学入試を振り返って~その2 台町本校 総合型・推薦入試、一般入試女子編~

2024-07-04
渡辺私塾高等部 今春大学入試を振り返って~その2(全4回) 台町本校 推薦・総合型・一般入試女子編~ 渡辺私塾高等部代表 渡辺 夢寛
 
 
推薦、総合型入試の奮闘記、続いては学長が「将来的に一般入試廃止を検討」とまで宣言したほどの、今春のテーマ「多様性」の象徴でもある筑波大である。中でも直近3年間で6名の塾生に声をかけ全員合格に導いている筑波大情報学群知識情報・図書館学類の受験記を紹介したい。「ビブリオバトル入試」といって、好きな本について受験生達を前にプレゼンし、投票によって決する全国でも類のない独特な入試方式であり、独学困難であるが故、当塾の指導次第で合格させられる入試であるので、今春も台町本校中等部時から指導している共に読書家で、明朗快活な二人の真女高塾生に声を掛けた。毎年100名を超える高3生の進路指導を担当していると、「子ども達の一生を背負っての面談」との自負の元、出来る限り非科学的な感情を排除し、半世紀を超える膨大なデータに基づく正確な進路指導に徹しているつもりだが、努力を怠らなかった受験生には、なぜか、運命のように、受験の神様からのプレゼントがある気がしてならない。  
 
 
さて一人の塾生は、県内唯一図書館のない自治体の益子町在住であったが、一昨春、益子町に移動図書館が稼働し、現在も新図書館開館計画が進んでいる。更に驚くべきことに、彼女が今までに一番印象に残った本を紹介する上記ビブリオバトルの題材に選んだ本、「ロック司書」の作者が、入試直前、益子町新図書館開館チームのプロジェクトマネージャーに就任されたのである。将来、益子町のリテラチャーの扉になってくれるかもしれない彼女へ、受験の神様は、合格というプレゼントを運んでくれた。
 
 
もう一人の彼女も中学生時からいつもその溢れんばかりの笑顔を絶やさない明朗快活な塾生であるが、まさかその笑顔を曇らせることになろうとは中学生時には思いもしなかった。彼女は推敲に推敲を重ねた志願理由書と並行して取り組んでいたため、ビブリオバトルのプレゼンを当塾講師陣に披露する時期は遅れた。ただ何週間もかかって作成したであろう台本を完璧なまでに暗記し、天性のパフォーマンス力で、周辺の人たちに披露したプレゼンでは、上手に仕上がっているとの評であった。だが、私は、そのプレゼンを初めて見た時、選んだ本がよく言うとわかりやすくシンプルで、悪く言うとタイトルで結末まで想定できてしまい、彼女の良さを引き出せていないと感じた。それでも修正を繰り返したが、読書の達人達が集結する筑波大ビブリオバトル入試を勝ち抜くビジョンまでは見えてこなかった。そこで、同入試に今まで合格した先輩をも凌駕する表現力を活かす彼女のプレゼンには、濃淡のある「ストーリー」が必須であると考え、思い切って、「今更だけど、本自体を変更してゼロから作り直せる?できれば驚くようなオチの本ある?」と無謀な提案をした。それを聞いた彼女は、当然、それまでの笑顔が一瞬にして消え、曇った表情を隠しきれなかった。だが、校内図書館貸し出しランキングにも名を連ね、数多の本を頭の中の図書館に貯蔵している彼女は、「一冊だけあります・・」とポツリと、ただ、確信的に、一言だけ呟いたが、その時点で推薦入試当日まで一週間を切っていた。絶体絶命の状況のその日から数日後、睡眠時間を削って覚えたであろう「ルビンの壺が割れた」の本のプレゼンでは、二人の男女のメールの遣り取りから始まり、目まぐるしく変化するストーリー、そして私も全く想像さえし得なかった、どんでん返しのエンディングを迎え、それを彼女は水を得た魚のように演じきった。そのパフォーマンスは、入試が直前に迫っているが故、唯一、私にしか披露できてなかったが、「その通りできれば間違いなく合格できるよ」と太鼓判の元、今春も見事に両名共、筑波山の麓にて、輝かしき未来へのキャンパスライフを歩み出した。
 
 
さて同じく真女高塾生の「文系」の2名が、東京都立大看護や獨協医科大看護の推薦入試に合格し、文系クラスから医療系大学進学という、一昔前では異例であった「多様性」をまたもや具現化した推薦入試であったが、いよいよ一般入試の幕が開ける。
 
 
数多くの一般入試合格者の中で、はじめに、同じく多様性を成し遂げた女子塾生に登場してもらおう。彼女は先週号紹介した女子塾生や上記の女子塾生達、東京医科歯科大に合格した女子塾生と台町本校高等部にて机を並べ切磋琢磨し、女子チャンピオン席に君臨した。
 

(次週登場する今春、東大に合格した塾生が男子チャンピオン席だが、当塾高等部では半世紀以上、成績上位者を前の座席に指定している。ただし例えば英語クラスにおいては、単純な学力順でなく、次回の単語テスト等を覚えてくると前列になるような、努力すれば報われるシステムである。その上位者何列か以外の座席はランダムであり、成績上位者の座席指定システム自体も甲論乙駁あるのは重々承知であるが、前列で心血注いで単語を暗記し、全身全霊を懸け努力し続ける最上位生の背中を見ながら授業を受けられる環境は、先週号述べたこのような田舎では真の財産であると確信している。例えば『あいつらメッチャ頑張ってんな。俺も、わたしもやってみっか!』を背に授業を受けた、台町本校塾生諸君が、今春も奇跡的な合格率の宇大15名受験14名合格につながったと確信している。)
 
 
さて、学力以外にも文学にも精通した女子チャンピオン席の彼女は、一昔前では王道であった「大学で学びたいこと」を最重視したピンポイントの志望校であり、前期、後期ともに進学した大学とは違った大学に出願しようとしていた。ただ共通テスト後に高3生全員と国公立受験大学を綿密に面談し、決定するのだが、上記の塾生や卒業生達同様、広い視野と学力に見合った大学をとの思いから、中国・四国地方最難関の広島大文学部を彼女に強く勧めた。その後、見事難関を突破した彼女から、「真岡女子高から渡辺通枝奨学金を頂きました」と更なる吉報があった。「渡辺通枝奨学金」とは、日本随筆家協会賞も受賞した随筆家であった亡き祖母が、約四十年前に設立した奨学生制度であり、文学部系合格者の中で最優秀な生徒が選ばれる(昨年も東北大2年生の塾生が受賞)。勿論塾生以外の真女生も選ばれたこともあるが、塾生の受賞には、祖母は、天国から、あの優しい、本当に優しい笑顔で微笑んでくれているであろう。なぜなら手前味噌で恐縮であるが、幼き私にたくさん、たくさん読み聞かせをしてくれ、文学の素晴らしさを教えてくれた祖母は、私の教え子の、渡辺通枝奨学生受賞は格別であると思うからである。この場を借りて、この想いよ、天まで届け。「子ども達を誰よりも想う貴女の想い、蒔いてくれたたくさんの芽は、たくさんの大輪の花を咲かせているよ。ありがとう、おばあちゃん。」

~次回一般入試男子編に続く~
TOPへ戻る