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夢blog

当塾代表 渡辺夢寛による「夢blog」 開設しました

2024 今春大学入試を振り返って~その3 台町本校一般入試編~

2024-07-18

渡辺私塾高等部 今春大学入試を振り返って~その3(全4回) 台町本校一般入試編~ 渡辺私塾高等部代表 渡辺 夢寛


苦しくも輝かしい受験時を涙と笑顔で共に乗り切った卒業生の来訪は、何よりの楽しみであり、喜びであり、生きる糧であるが、この文章を綴っている5月末は、その卒業生達が当塾に毎年立ち寄ってくれる各学校の教育実習の季節である。


さて台町本校からも毎年進学している法曹の名門、中央大法学部(一昨春は真高生、昨春は真女生、今春も2名の真高生が進学)4年生が真高での教育実習の帰り道に訪れてくれたので紹介させてもらおう。彼は受験時、東大文科Ⅱ類に進学した塾生(当塾ブログ2022年度入試を振り返ってその2で紹介)と東北大法学部4年生(当塾ブログ2021年度入試編で紹介)と真高内文系不動のTOP3を競い合った塾生である。


塾に残す言葉では『私塾には人生を変えていただきました。高校1年時の塾長との面談では、自分の志望校よりもはるかに高いレベルの大学を勧めていただいたことで、自分のモチベーションやこの塾で3年間頑張るという意思が固まったことを覚えています。また、私は、時々塾長と面談をしていただき、自分にあった受験方式を教えて頂いたり、模試が振るわず不安になった時にも、励ましの言葉をかけていただき、気持ちを維持することができました。このように塾でのすばらしい経験の中で一番すごいと思ったのは、受験校出願先の決定でした。自分の中で雲の上であった中央大法学部を勧めていただき、その通りに出願したことで無事合格できました』(当塾HP「卒業生の声2021年度生から閲覧可」)から始まる、彼の未来を予見できる、驚くほど理路整然と綴られた文章を書き残してくれたが、先月の訪問の際には、進学した法律学科と教育実習は全く結びつかなかった。


その疑問は、当塾卒業から3年以上の時を経て、まだあどけなさが残っていた受験時の少年から、精悍に凜々しくなった青年に成長した彼から、「新聞社本社の記者職の内定を貰っています。ただ虐待やいじめ等の教育問題に関心があるので、社会に出てから現場で役に立つと思い、教職課程も履修しました」との解を得た。更には、彼は大学時代専攻している行政からも教育問題の切り口を見つけるため、大学3年時でさえ合格点まであと数点に迫った、所謂「官僚」の国家公務員Ⅰ種受験の勉学に4年生時の今も励んでいるという。


彼は司法試験受験者が犇めく中央大学法学部法律学科の最上位の学生であり、且つその中で朝から晩まで受講し続けなければクリアできない教職課程も履修しているのである。しかも、高校時代と変わらない謙虚な彼は、私からの拙い問いにも、その来春から勤務する新聞社が、国内最多発行部数の日本一の新聞社であり、その中でも本社記者職の倍率は、優に100倍を超えること等を教えてくれた。


時代は違えど、彼こそもまた、今春のテーマ、一生の職業を、「国内最大手新聞記者」、「高校教員」、「国家公務員」と、大学4年時でさえ確定させない「多様性」も示すお手本であることも見せてくれた。



さてここで彼の久下田中、真高の後輩である今春、東大理科Ⅰ類に合格した塾生に登場してもらおう。その彼は入塾時、高校入試含め真高内トップというわけでなく、塾内の成績も、その後は常に座った所謂チャンピオン席でもなかった。ただ後に「塾で間違った問題は必ず復習して出来るようにしましたし、そのできなかった問題をできるようにすることは全く苦でありませんでした」と話してくれたように、教卓の目の前で惚れ惚れするような「努力できる才能」の片鱗を魅せていた彼は、メキメキと頭角を現し、高1の11月の進研模試にて真高内1位になり、栃木県内でも上位に食い込むようになった。


更なる伸び代があると感じた私は、その時、彼を特別に呼び「東大理科Ⅲ類(医学部)を目指せ」と話したが、当時から物理学の研究者を夢見ていた彼は、はにかんだ笑顔を見せた。


その後も、私の予想通り、いや予想を遙かに超える伸びを見せた彼は、次の回の高1の1月末の進研模試では、なんと宇高、宇女高の最上位を凌ぎ栃木県内総合1位に輝いた。塾内でも最高の環境の元、水を得た魚の如く成績を上げていたが、その高い学力を鼻にかけたりはせず、温和で優しい彼の周りには授業が終わると毎回、自然と友人達が取り囲むように輪を作っていた。


ただその優しすぎる心持ちが、受験では万が一があるのではとの心配でもあり、高3秋の面談では、「そろそろピリピリしてもいい頃だよ」とアドバイスしたが、やはり努力の天才の彼には杞憂であった。奇しくも同中の先輩が一年前に受講できず、僅かに及ばなかった当塾が用意した無料の東大対策特別講座を受験期直前まで全て受講した彼は、東大入試過去問でも英語は時間内に解き終わらず、また形は合っているが不自然であった英作文も、何度となく行った添削の末、克服し、大きく合格点を超えるまでになり、数学ではなんと東大過去問にて満点をとる年も続出するほど順応していった。


その講座の最終回に「どう?まだいつも通りリラックスしてる?」と私から尋ねられた彼は「そろそろ緊張してきました・・」と今までの優しい眼とは違い、受験勉強を通じて、少し大人になった鋭い眼光と共に携えられた言葉に、私は「初めて本気になる時が来たね。」と返したが、その瞬間に、優しさと共に、強さも兼ね揃えた彼の合格を確信した。


さて本番でも力を出し切り、見事に東大に合格した彼だが、勿論、「はい、合格おめでとう」では終わらないのが、開塾51年目を迎える渡辺私塾である。四年前の東北大(医)と京大(理)、三年前の筑波大(情報)、二年前の筑波大(医)と自治医科大(医)、昨年の東北大(法)と東京外国語大に進学した先輩が、彼を含めた、新高1、高2、高3生を前に、勉強の仕方や合格体験記を話してくれたように、彼もまた、これから芽吹く現高1、高2、高3生を前に、たくさんの水と養分を与えてくれ、輝かしい次のステージへの第一歩を歩み出した。



さて今春は現行教育課程最後の代であり、現高3生の2025度入試からは新たに共通テストに「情報」が加わる(当塾で来月全国の塾でも稀な「情報」夏期講習開講)等改訂されるが故、同じく旧教育課程最終代の全員が現役で進学した2020年度入試(当塾ブログ2020年度入試を振り返って参照)同様、例年より輪を掛け、現役合格を目指させた。


その結果、昨春、石橋駅前校にて10名受験全員合格の勢いのまま、台町本校でも地元宇大に開塾以来最多の15名が出願した。ただ「現役で蹴りをつける」想いは当塾生だけではなかったようで、最も多くが受験した基盤工学部の志願倍率は、前期は昨年の2,2倍から3,8倍に、後期に至っては4,8倍から13,6倍に跳ね上がったが、台町本校塾生達は、共通テストE判定からの奇跡の逆転合格の塾生達を含め、なんと宇大15名中14名が合格という快挙を成し遂げた。



さて続いては、おや、スペースがない。私の拙文で、もおか新聞復刊に水を差すわけにはいかない。

「今春真高から唯一医学科合格した兄弟医学部現役合格の自他共に認める真の努力家である彼」、「近年医学科に肉薄する難易度の国立大薬学部薬学科に2名受験し共に合格した両名」「発表後、誰よりも早く数分で合格の報を知らせに来てくれた、滑り止めの私大全滅の崖っぷちからの北陸最難関、金沢大学合格の彼」、「東京藝大に進学した前年の真高吹奏楽部部長とは違った分野で、歯学部合格という金賞を勝ち取った吹奏楽部部長の彼」、「合格の瞬間、当塾にて、白布祭バンド演奏のボーカル時以上の『オッシャー!受かったー!』とシャウトを響かせくれた信州大合格の彼」、「塾に残す言葉に過去最多の7枚にも渡り、塾への熱い想いを綴ってくれたインターハイにも出場し、未来の日本の陸上界を担うであろう彼」をはじめ、塾生の数だけ一人一人にドラマがあるが、最後に一人だけ紹介させて頂きたい。



それはこれだけの大成功を収めた今春の受験であるが、唯一、心に引っかかっていた女子塾生の奮闘記である。真高生徒会長が共通テストの失敗後、「先生、僕を救ってください・・」の言葉通り、法政大を滑り止めにし、茨城大工学部に逆転合格したが、その彼女は、真女高の同じく生徒会長である。後輩の真女高塾生が、「あれだけ忙しいのに、どうやって勉強時間を確保されているのでしょうか?」と尋ねられる程、多忙を極めた彼女は、国立大の一般入試に臨んだ。


上記で学部を高三時で決定しない「受験の多様化」を呈してきた今春大学入試だが、高3受験時に一生の職業が確定してしまう「医療系」だけは全く別の話である。彼女も「放射線技術科学科」という命を預かる学科を志望していたが、それを有し学費も安く、正に最高峰の国立大学は、全国でも僅か8校、定員300名弱のみであり、当然倍率も高い。彼女は共通テスト後に周囲からは、志望の新潟大と違った国公立大を勧められたが、二次試験に得意ではない理科があること、そして何より面談時、彼女の中学時代から見ている聡明な笑顔と対照的な曇った顔を見て、私は、高1時から当塾でコツコツ頑張ってきた英語と数学で二次試験を勝負できる第一志望の新潟大を勧めた。だが結果は不合格であり、上記の何度も来塾してくれる真高の生徒会長達と談笑しながらも、心の隅では靄がかかったかのように責任を感じていた。


第一志望でない学部(それでも人も羨む難関学部である)に進学するとの報を彼女から受けていた3月末、本当に末日、彼女から「補欠でもない不合格だった新潟大から追加合格の連絡がありました・・」と、驚くべき電話をもらった。思い起こせば、3年前、全く同じ3月末に、全く同じ追加合格の報をくれた、群馬大医療系学部4年生(当塾HPブログ2022年度入試を振り返ってその2より閲覧可)も、同じく自習室で黙々と努力をした塾生であった。全ての合格は等しく嬉しく、比較は絶対にしないと心に決めている私も思わず、電話口で「おめでとう、本当におめでとう。今年の合格の中で一番嬉しいよ」と無意識に溢れた涙と共に出た言葉により、今春の台町本校高等部の受験が幕を下ろしたが、受験の神様は、更なるビッグサプライズを宇都宮市や下野市の地にも運んでくれるのである。


~次回、最終回、清原校・石橋駅前校編~

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