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夢blog

当塾代表 渡辺夢寛による「夢blog」 開設しました

2023年度大学入試を振り返って~その1 推薦・総合型入試編~

2024-05-23

2023年度大学入試を振り返って~その1 推薦・総合型入試編~

 

 順当に期待通りに合格してくれた昨春の大学2年生の代とは逆の、逆転合格続きであった怒涛の今春大学入試について振り返ってみようと思う。(出来の良い上の代と3年間常に比較され続け、辛かったであろう彼ら彼女らの奮闘に読後心の中で拍手を送って頂ければ幸いです。)

 

 この代の高校入学当初の授業の雰囲気は、中等部時代から各中学校のトップが集い完成されていた現大学2年生の代とは確かに違っていた。言われた通りに全てを熟し早い段階から完成されていた「優等生」揃いの上の世代に比べ若干意識の低い生徒が多いように感じたが、授業を行ううちに「実はポテンシャルは非常に高い塾生が多い」と肌感覚で感じ、鼓舞し続けた。3年生になる頃には少しずつ力をつけてきた彼ら彼女らだったが、春先に、当塾の右肩上がりの国公立大合格者数の棒グラフを見ながら大勢の塾生が、「この右肩上がりグラフ、俺らの代で絶対下げられねーよな。」と話しているのを通りがかりに耳にし、必ずやそれぞれの受験を成功させねばと身が引き締まる想いであった。ただ、まだ上の世代を超えられるほどの点数には達しておらず、志望校への偏差値も足りていない塾生が多く、一抹の不安を抱えながらの受験シーズン開幕となった。

 

 先陣を切ったのは、直近、真高から26名の医学科合格者中24名が当塾生という圧倒的に強い医学科入試で、まずは獨協医科大医学部推薦入試である。指定校制であるが、高い評定をクリアした受験生が志望理由書、英語・数学の筆記試験、小論文、更には通常の面接試験、MMI試験(受験生が複数の面接官の部屋を順々に訪れ、それぞれ提示されたシチュエーションに対してその場でどう対処するかを答える、事態を論理的思考によって把握し、即座に最適な判断を下し、それを分かりやすく表現する面接試験)を課され、振るいにかけられるあまりにも過酷な入試制度である。ただし合格者の中で好成績ならば栃木県地域枠(卒後県内での医療従事という条件有)という奨学金給付制度もある。結論から言うと、当塾から今春この指定校推薦制度にて3名が受験し合格したのは1名であった。合格した彼は真高陸上部副部長としてトラックを縦横無尽に走り回り県内で何度も表彰されたが、その分受験勉強への取り組みには出遅れた。ただ彼から今回の医学部受験は聞いていたので、私は今回と同じ入試方式で獨協医科大医学部に栃木県枠にて昨春合格した卒業生に来塾してもらい、今春入試のための準備を続けていた。獨協医科大2年生の彼曰く、自らの体験、合格した同級生達からの情報によると「MMI入試」の配点が非常に大きいとのことで、それに特化した対策を続けた。今春合格した彼の、私を含め当塾講師陣からの模擬面接での医療問題に鋭く突っ込んだ質問に、流暢な受け答えではないが、「すいません、すいません」と声を詰まらせながらも必死に想いを伝えようとする姿は、将来患者さんと「懸命に」「真摯に」「真っすぐ」に向き合うであろうイメージが沸き、好印象と評する講師も多くいた。また推薦入試で不合格であった2名も、一般入試で医学科に合格し当塾3名の医学部志望者全員が医師への一歩を踏み出した。一般入試の詳細は次回綴るが、とにかく、周囲も本人でさえ、塾に残す言葉の中で「合格可能性は低い」と分析していた逆境を栃木県地域枠特待合格という最優秀での彼の合格は真高内、当塾内の他の塾生の「自分もできる!」と大きな自信となった合格であり、今思えば多くの逆転合格を予期する、狼煙(のろし)を上げる合格であった。

 

 続いても指定校推薦組である。その中でも早稲田大は最上位の評定が必要であり、正に「文武両道」を成し遂げた生徒のみが選ばれるが、今春も当塾から二人の塾生が合格した。真高陸上部長距離部門の塾生は、塾に残す言葉の中で「入塾当初は真高に入れるかも怪しい学力でした」と書き残した成績から、猛烈な伸びも見せ、箱根駅伝を早大の臙脂(えんじ)色のユニフォームで疾走する夢の第一歩を歩み出した。二人目の早大合格者も風光明媚な言葉であるが、大学受験では茨の道でもある「文武両道」を見事成し遂げた。真高百数十名のサッカー部員の中で隋一の優秀な成績であった彼からスポーツと情報を高い領域で研究したいとの想いを聞き、高1夏の面談で早大理工の指定校推薦を目指すようアドバイスした。愚直にそれを有言実行した彼は、評定が校内トップのオール5であり、サッカー部最後の選手権大会でもスタメンとしてフル出場した。彼は周囲から「天が二物を与えた」かのように評されていたが。どんなに遠い県外で大会や遠征があった日でも、どんなに疲労困憊な日でも、どんなに遅刻をしてでも、真っ赤に焼けた顔で毎回塾の授業に出席していた姿を私は知っている。毎日の部活の帰り道、更には合格が決まってからの卒業前日までも自習室消灯時に茶色の真高サッカー部のジャンパーを着た塾生がそこにいたのを私は知っている。

 

 続いては公募推薦組である。前述の指定校推薦と違い、原則志望理由書などは本人による作成となるため、実質独学困難な受験方式であるが、その公募推薦に多くの定員を割り当てているのが筑波大である。当塾でも一昨年5名、昨春3名と一般入試合格者以上の人数を推薦入試にて輩出している。今春も東北大農学部の推薦の相談に来た真高塾生に、受験科目、倍率を考慮し、筑波大生命環境学群受験を強く勧め、柔軟にそれを受け入れてくれ、綿密な志望理由書添削と面接練習の元見事合格した。同じく直近2年で4名の塾生に声をかけ全員合格させている筑波大知識情報図書館学類である。「ビブリオバトル入試」と言って、好きな本について受験生達を前にプレゼンし、投票によって決する全国でも類のない独特な入試方式であり、独学不能であるが故、当塾の指導次第で合格させられる入試であるので、今春も台町本校で中等部から指導している真女生と清原校で開校時の中1から通塾している元清原中生徒会長の宇中女生に声をかけた。次回の一般入試編で後述するが、受験生とは本当に視野が狭くなる。あれだけの数学の難問やパズルのような英文解釈をも読み取れる賢明な上記塾生達も、なぜか固定概念に囚われすぎてしまうのである。上記2名の塾生も「一度検討します」と持ち帰り、数日後に「推薦入試受験はお断りします」と全く時を同じくして、全く同じ返答をしたのであった。特に台町本校の真女生は嗚咽をあげ泣きながら「先生に勧めて頂いたのに本当に申し訳ありません」との返事であったが、私はその涙で溢れた湖のような瞳の奥に「筑波大受験」への自信の無さからの言葉であることを見抜き、「君なら合格させてあげられるから自信を持って」と更に強く受験を勧めた。その後「塾に残す言葉」に「あの時先生の勧めを一度断わった私はなんて馬鹿だったのだろうと本当に反省しています」と書き残した。清原校の塾生も入念な面接試験対策の元無事合格し、これで筑波大情報学群は6戦全勝となったが、偶然この原稿をしたためている5月下旬、当塾から2年前全く同じ手順で合格した筑波大情報学群3年生が帰省がてらに有名な外資系企業にインターンしていることなど近況報告をしてくれ、「あの時の先生からの受験の勧めを断わっていたらと思うとぞっとします」とも話してくれた。

 

 更にこの代で一番自習室を利用していた真女生が入学当初からの目標であった難関、北里大薬学部に6倍近い倍率をもろともせず突破、真高生と共に切磋琢磨して3年間通塾した茂木高生が国立大工学部に合格するなど大成功を収めた推薦入試であったが、一般入試編では更に予想だにしなかった、それぞれの塾生達のたくさんのドラマが生まれる。~次回一般入試編へ続く~

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